立入検査の対応について(防火対象物編)

法令

皆さんこんにちは。今回は消防職員が行う立入検査の対応方法について解説します。

「消防」と聞くと火を消す仕事を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実際には火災が起こる前の予防活動も重要な役割です。

立入検査もその一環であり、皆さんの財産や命を守るために行われています。

しかし、「立入検査をします」と言われると、少し緊張する方もいるでしょう。

そこで、本記事では立入検査の流れや準備方法をわかりやすくご紹介します。

この記事を読むと、消防職員から立入検査と言われても、落ち着いて対応できるようになります。

1 立入検査の結論:基本対応はシンプル!

結論から言うと、

「所有者等の情報を伝えて、消防署の結果通知書に従う」

これだけです。シンプルですよね。

なぜこの点を強調するかというと、立入検査は「行政指導」であり、強制力のある「命令」ではないからです。具体的には、

「現状では防火上問題があるので、改善してください」という指導であり、

罰則を伴う命令とは異なるものと捉えることができます。

つまり、「無料で消防設備等を診断してもらえる」くらいの気持ちで対応すると良いでしょう。

もちろん、その改善事項を長期間放置すれば、消防も罰則を伴う命令に移行しますので、改善をお願いされたらできるだけ速やかに改善の意思を示しましょう。

2 立入検査の流れ

とはいえ、できれば指摘事項を減らしたいですよね。

そのために、立入検査の流れを事前に把握し、適切な準備を行いましょう。

(1) 日程調整 or アポなし訪問

  • 日程調整あり:消防署員から事前に検査日程を調整があり実施する。
  • 日程調整なし:法律上、予告なしの立入検査も可能です。ただし、急に来た場合で、業務が忙しければ日程変更を依頼することが可能なので伝えてみて下さい。

(2) 以前の立入検査の結果を確認

  • 新築以外の建物は、前回の立入検査の結果を確認しておく。
  • 不明な場合は、日程調整の連絡が来た際に問い合わせてみましょう。

(3) 検査の実施

  • 消防職員の「立入検査証」を確認します。
  • 検査証がない場合は、立入検査を拒否できます。

(4) 検査終了後、結果通知を受け取る

  •  指摘事項がない場合、通知が来ないこともあります。
  • 1ヶ月以内に連絡がない場合、心配なら消防署へ問い合わせてみて下さい。

(5) 指摘事項があれば是正する

  •  結果通知書を受け取ったら、指摘内容を確認し、改善策を講じます。
  • 不明点があれば、検査を行った職員に相談するとアドバイスをもらえます。

では、次から具体的な方策を書きます。

3 必要な情報を整理しておく

消防署は、火災や事故時の連絡先を把握するため、以下の情報を確認します。

  • 所有者・管理者・店長などの肩書き、名前、連絡先
  • 従業員・利用者の人数(収容人員)

  人数によって消防用設備の基準や防火管理者の選任義務が変わるため、事前に把握しておきましょう。

4 増築・改築・模様替えの有無

前回の立入検査以降、建物の構造が変更されているか確認されます。

  • 消防設備は建物の区画によって設置基準が変わるため、建物の平面図などがあると説明しやすいです。
  • 消防署側でも前回の図面を保管している可能性があるので、比較しながら確認してもらえます。

5 消防設備の点検と状態確認

消防設備が適切に設置・管理されているかを確認します。

(1)  消火器の設置基準

  • 歩行距離20m以内に設置します(水平距離ではない点に注意)。
  • 各階に必ず設置します。

(2)  誘導灯・赤色灯の点灯状態

  • 電球の球切れがないかチェックします。
  • 交換が難しい場合は、消防設備業者に依頼しましょう。

6 点検や消防訓練の実施状況

消防用設備は定期的な点検(1年に2回)と建物の用途ごとに以下の報告義務があります。

  • 特定用途(例:飲食店、ホテルなど)→ 1年に1回
  • その他の建物(オフィス、倉庫など) → 3年に1回

点検を忘れないよう、スケジュール管理を徹底しましょう。

用途の説明はこちらをご覧ください。

7 整理整頓と防火管理

(1)  消防設備や通路周辺の整理整頓

  • 階段や防火扉の前に物を置かないようにしましょう。
  • 消防法違反になるだけでなく、避難時に本当に危険です。

(2) 放火防止対策

  • 店舗や施設の周辺(階段や廊下)に可燃物を置かない。
  • 整理整頓を徹底し、火災(放火)リスクを減らしましょう。

まとめ

いかがでしたか?

今回は消防署からの立入検査に対応するためのポイントを紹介しました。

本記事の要点

✔ 立入検査は「行政指導」であり、強制力はない。

✔ 事前に所有者情報や消防設備の状態を整理しておく。

✔建物の変更点や点検状況を把握し、事前準備を行う。

✔ 消防職員に相談しながら、必要な改善を進める。

消防職員の立入検査は「違反を見つけて罰する」のではなく、「火災リスクを減らすためのアドバイス」をする立場です。

適切に対応し、従業員や利用者の安全を第一に考えましょう。

終わりたいと思います。

今回もありがとうございました。

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